生活保護制度の概要
「生活保護2法が成立 不正受給の罰金増/事前支援に重点」『朝日新聞』
生活保護法が1950年以来の大幅見直しとなったそうです。生活保護制度は近年受給者が増大しているとよくニュースになるので、社会問題化していると言えます。ということで「生活保護制度」についての議論の礎を作るために、一通りまとめておこうと思います。
・生活保護制度
…暮らしに困った場合の最後の頼みの綱
根拠:日本国憲法第25条の「生存権」
⇒すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
この条文によってすべての国民の最低限の生活が権利として認められている
これを具体化した法律が「生活保護法」
・4つの原理
1、国家責任2、無差別平等3、最低生活の保障4、補足性
簡単に書くと…
1、貧困者の救済は国の責任と認めたもの
2、思想や人種などあらゆる違いによっても差別的な扱いをしないこと
3、単に生存するためだけの生活保障ではなく、健康で文化的な最低限度の生活水準のこと
☆4、これだけニュアンスが異なる。この法律の実施にあたって国民が守るべき決まりを示すもの
⇒具体的には、生活保護を受けることができるのは自分の資産や能力を活用する努力をし、親族等の援助や生活保護制度以外の援助を検討した上でなお生活できない場合に限って生活保護が支給されるということです。
日本の社会保障制度の柱
1、社会保険2、社会福祉3、保健医療・公衆衛生4、公的扶助
☆生活保護は4、における中心制度
社会保障制度は歴史的にみると、貧困になることを未然に防ぐ1、社会保険と、貧困になった人を救済する4、公的扶助の2つをもとに成立
・これらの決定的な違い
⇒事前救済か事後救済か
社会保険が貧困に陥る前の事前救済なのに対し、公的扶助は貧困に陥った後の事後救済です。これが前述した「暮らしに困った場合の最後の頼みの綱」と言われる所以。
・もう一つの違い
⇒給付要件
社会保険は保険料を拠出しなければ給付は受けられませんが、逆に言えば保険料さえ拠出していれば本人の所得や財産水準にかかわらず給付を受けることができます。一方の公的扶助は本人の拠出を必要とせず、全額を税金という公費で賄われますが、給付を受ける際には所得調査や資産調査などのいわゆるミーンズテストを必要とします。