政治・経済・社会・歴史

フレキシキュリティ政策とは何か―解雇されても安心な社会システム

以前にこんな記事を書きました。 社会支出の比較―日本と北欧 - パンダのぼやき 主に社会支出(≒社会保障支出)について、日本と北欧を比較しながらまとめたものです。ポイントとしては、 ・社会支出は日本より北欧のほうが大きい ・社会支出の内訳を見ると、日…

社会支出の比較―日本と北欧

以前にこんな記事を書きました。 国民負担率の比較―日本と北欧 - パンダのぼやき 北欧の国民負担率は高い、税負担を重視しているというような負担を中心とした内容です。今回は受益(主に社会保障)についてまとめていきたいと思います。 社会支出とは何か 社…

国民負担率の比較―日本と北欧

金融関係の勉強が一息ついたので、今回は私の卒論関係でいくつかまとめたいと思います。その第1弾は国民負担率の比較にします。 国民負担率とは何か 国民負担率とは、国税と地方税を合わせた租税額の国民所得に対する負担率(租税負担率)と、年金など社会保険…

デフレ下の金融政策の議論―リフレ派とリフレ反対派の主張

以前に金融政策の波及過程に関する記事をまとめました。 金融政策の波及過程―ケインジアン・アプローチ - パンダのぼやき 金融政策の波及過程―マネタリスト・アプローチ - パンダのぼやき 今回はこれらを念頭に置きつつ、今日の日本のデフレ*1の解決策として…

金融政策の波及過程―マネタリスト・アプローチ

以前は、金融政策の波及過程―ケインジアン・アプローチについてまとめました。今回はマネタリスト・アプローチについてまとめたいと思います。 マネタリスト・アプローチ(通貨量経由) マネタリスト・アプローチとは、リザーブ(準備)やそれに現金を加えたベー…

金融政策の波及過程―ケインジアン・アプローチ

以下を事前に読むと、理解がしやすいかと思います。 金融とは何か―出資・融資・通貨 - パンダのぼやき 金融とは何か―中央銀行の始まりと金融政策について - パンダのぼやき 金融とは何か―金融仲介機関について - パンダのぼやき 金融とは何か―金融市場・金利…

金融とは何か―決定者と金融政策の種類

以下の続きです。 金融とは何か―出資・融資・通貨 - パンダのぼやき 金融とは何か―中央銀行の始まりと金融政策について - パンダのぼやき 金融とは何か―金融仲介機関について - パンダのぼやき 金融とは何か―金融市場・金利について - パンダのぼやき 以前、…

金融とは何か―金融市場・金利について

以下の続きです。 金融とは何か―出資・融資・通貨 - パンダのぼやき 金融とは何か―中央銀行の始まりと金融政策について - パンダのぼやき 金融とは何か―金融仲介機関について - パンダのぼやき 金融商品と金融市場 以前に金融とは通貨の貸し借りもしくは提供…

金融とは何か―金融仲介機関について

金融とは、資金が余っている経済主体からそれを必要としている経済主体への資金の流れだと説明しましたが、これを仲介するのが金融機関です。 金融政策が働く場 金融仲介機関には2種類あります。 1、預金取扱金融機関(例えば銀行) :預金を取り扱うことがで…

金融とは何か―中央銀行の始まりと金融政策について

以前はこんな記事を書きました。 金融とは何か―出資・融資・通貨 - パンダのぼやき 上記記事で書きましたが、両替商が発展して銀行となり、銀行が発行する預かり証が銀行券となります。しかし、こうなると銀行券が何種類も出回ることになるのですが、銀行ご…

金融とは何か―出資・融資・通貨

以前に、現代は金融が実体経済を規定している構造があるという旨の記事を書きました。 EUの金融取引税について―国境を越える資金にどう課税するか(導入)~金融のグローバル化について~ - パンダのぼやき 証券取引に対する課税―トービン税とは何か - パンダ…

ニューディール租税政策―留保利潤税とは何か

以前に、世界恐慌が発生した原因についてまとめました。 なぜ世界恐慌は起きたのか―世界恐慌から現代日本を捉え直してみる - パンダのぼやき 一言でいえば、生産に需要が追いつかなかったのではなく、需要が生産に追いつかなかったこと(過少消費)によって世…

なぜ世界恐慌は起きたのか―世界恐慌から現代日本を捉え直してみる

今回は世界恐慌の原因についてまとめたいと思います。この議論は現代と重ね合わせて考えることも可能なので、この時代を読み解くことも重要かと思います。 世界恐慌の発生 この原因として、2つの論点があります。 1、 独占・寡占化傾向…ミーンズ 2、 所得分…

証券取引に対する課税―トービン税とは何か

以前にこんな記事を書きました。 EUの金融取引税について―国境を越える資金にどう課税するか(導入)~金融のグローバル化について~ - パンダのぼやき 金融自由化―3つの要点と美人投票の論理 - パンダのぼやき 証券取引に対する課税への道筋―ミンスキー理論 -…

証券取引に対する課税への道筋―ミンスキー理論

以前にこんな記事を書きました。 EUの金融取引税について―国境を越える資金にどう課税するか(導入)~金融のグローバル化について~ - パンダのぼやき 金融自由化―3つの要点と美人投票の論理 - パンダのぼやき 簡単にまとめると・・・金融の自由化に伴い、金…

金融自由化―3つの要点と美人投票の論理

以前はこんな記事を書きました。↓↓↓ EUの金融取引税について―国境を越える資金にどう課税するか(導入)~金融のグローバル化について~ - パンダのぼやき “金融の自由化によって国際的な金融取引が飛躍的に伸び、金融危機が起こるようになってきた”というのが…

EUの金融取引税について―国境を越える資金にどう課税するか(導入)~金融のグローバル化について~

グローバル化に伴って、ヒトやモノだけでなく、カネも国境を越えるようになりました。それに伴い、金融危機も発生するようになりました。グローバル化自体は1970年代頃から始まっていたのですが、こうした国境を越えた移動にどう課税するのか?金融危機をど…

ワーグナーの経済論②―社会政策的課税という考え方

以前に、ワーグナーの経済論についてまとめました。 ワーグナーの経済論①―人間は自己利益を最優先する? - パンダのぼやき 簡単に復習をすると、ワーグナーの主張は、これまでの経済学の通説(自己利益を最優先するという行動動機)を批判し、人間の行動動機は…

ワーグナーの経済論①―人間は自己利益を最優先する?

以前はヘーゲルの考え方を踏襲・昇華させたシュタインの租税論についてまとめました。 シュタインの租税理論 - パンダのぼやき 今回はシュタインの議論を引き継いだワーグナーの経済論・租税論についてまとめたいと思います。 ワーグナーの生きた時代 …政治…

シュタインの租税理論

以前にこんな記事を書きました。↓↓↓ 有機的国家論―納税は「義務」という考え方 - パンダのぼやき 上記記事を簡単にまとめれば、「ドイツ的国家論は、全体利益あってこその私的利益であり、全体が損なえば個人も損なうという、運命共同体と捉えられていた」と…

有機的国家論―納税は「義務」という考え方

以前は「原子論的・機械論的国家論」についてまとめました。↓↓↓ 原子論的・機会論的国家論―納税は「権利」という考え方 - パンダのぼやき これと対照的な国家論が「有機的国家論」です。これについて、簡単な復習を踏まえながら進めていきます。 税金を納め…

原子論的・機会論的国家論―納税は「権利」という考え方

タイトルで???となる人も多いかもしれません。自分なりにできる限りわかりやすくまとめてみますので、少々お付き合いくださいませ。 まず、本記事の「原子論的・機械論的国家論」を理解するためには、ホッブズとロック、デカルトを理解する必要があります…

ホッブズとロックの国家論―租税という切り口から

以前にまとめたものと重複する部分もありますが、重要なところなので改めて書いておきます。関連記事はその都度リンクを貼ります。 ・租税とは何か ⇒その有力な答えは、ホッブズとロックによって与えられた。「国家が市民に提供する生命と財産の保護、この2…

インドの経済発展―IT産業とカースト制度

インドの経済発展が目覚ましいですね。これはつい最近に始まったことではありませんが、将来はGDPでアメリカと争うと言われるくらいですので、重要な国であることは確かです。そこで今回は、インドの経済発展について、カースト制度とITの関係からまとめてみ…

戦争と税金―戦争は税金の生みの親

タイトル通り、戦争と税金は切っても切れない関係にあります。先に大まかなポイントと流れだけ示しておきます。先にポイントを抑えることで理解が早まるかと思います。 ☆☆☆ 戦争→財政危機→国王の増税路線→議会権力(国民側)の強化→勢力を増した議会が分裂→新…

租税問題が国家を揺るがす―「家産国家」から「租税国家」へ

イギリスの市民革命史をたどると、租税がいかに重要な問題かということを痛感します。租税が重要な問題として捉えられるようになったのは17Cからなのですが、なぜこの時期だったのでしょうか。ここでキーとなるのが「家産国家」から「租税国家」への移行です…

どうしたら生活保護受給者は減少するか

これまでは、 生活保護制度の概要 - パンダのぼやき と なぜ、生活保護受給者は増大したのか? - パンダのぼやき についてまとめました。今回は、これらを踏まえた上で、生活保護制度に関する課題と対策について考えていきたいと思います。 これまでに検討し…

なぜ、生活保護受給者は増大したのか?

前回は生活保護制度の概要についてまとめました。 生活保護制度の概要 - パンダのぼやき 今回はそれを踏まえた上で、なぜ、生活保護受給者が増大したのか、について考えてみたいと思います。 ・生活保護受給者増大の背景 生活保護制度そのものの問題点だけで…

生活保護制度の概要

「生活保護2法が成立 不正受給の罰金増/事前支援に重点」『朝日新聞』 http://digital.asahi.com/articles/TKY201312060664.html?_requesturl=articles/TKY201312060664.html&ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201312060664 生活保護法が1950年以来の大幅見直…

「所得」概念と「租税」理論―アダム・スミスの経済学体系

前回はスミスがなぜ消費課税に反対したかを書きました。 なぜ、アダム・スミスは消費課税に反対したのか - パンダのぼやき 今回はスミスの考える経済学体系を理解することで、消費税に対する彼の考え方をより深めてみたいと思います。 ・スミスの経済学体系…