勝ち続ける意志力
プロ・ゲーマー梅原大吾の自伝。本書を最初に手に入れたときは、タイトルからの印象でひたすら結果にこだわってストイックに取り組む姿勢などが書かれているのかと想像していました。確かに前半では予想通りめちゃくちゃストイックで、「才能すらもなぎ倒していく圧倒的なまでの努力」という言葉からも、張り詰めた印象を受けました。しかし、読み進めるうちに、結果よりも実は過程を重視しているなと思いました。目的が自分自身の成長に置かれているため、結果はあくまで結果でしかないのです。勝つためにどうすべきかももちろん重視していると思いますが、それよりもむしろ自分自身が成長し続けるためにはどうすべきかのほうが重要視している印象を受けました。確かに結果を出そうと思えば思うほどプレッシャーは大きくなり、委縮しやすいと思います。結果に固執しすぎず、自分の成長を重視すれば周りを気にする必要もなくなりますので、気が楽になるかもしれません。
また、特に印象的だったのは、「自分の得意なものを捨てて、いかに勝つかを追求する」という言葉でした。つまり、環境の変化などによって得意なものはいずれ陳腐化するので、その変化に応じて自分も変化し続ける必要があるということでしょう。普通なら自分の得意だと思うものは最大限活用するだろうと思います。しかし、それだと勝てるかもしれないけど、勝ち続けることはできないのです。勝ち続ける=変化し続けるということだと思います。これはどんなことにも応用可能だと思うので、一読の価値ありです。
補足ですが、個人的には以前紹介した「失敗の本質」とも非常に深いつながりがあるように感じました。日本軍は過去の成功にとらわれて得意なものを捨てきれずに敗戦した面があります。得意なこと、成功したことを捨てるのはそう簡単ではありませんが、非常に重要なことだと感じました。
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/08
- メディア: 文庫
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