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どうしたら生活保護受給者は減少するか

政治・経済・社会・歴史

これまでは、

生活保護制度の概要 - パンダのぼやき

なぜ、生活保護受給者は増大したのか? - パンダのぼやき

についてまとめました。今回は、これらを踏まえた上で、生活保護制度に関する課題と対策について考えていきたいと思います。

 

 これまでに検討してきたことからわかるように、生活保護受給者の増大要因は、生活保護制度そのものに問題があるというよりは(もちろん入りにくく抜けにくいなど制度自体の問題もありますが)生活保護を取り巻く周辺制度のもろさに問題があると言えます。したがって、生活保護受給者を減らすためには周辺制度の充実が不可欠だと思います。その具体策として、①最低保障年金の創設②失業給付の強化と就労支援の強化③就学援助、奨学金の充実が重要かと思います。新鮮味はありませんが、これらが最適ではないかと考えています。

 

・最低保障年金の創設

①最低保障年金は、文字通り最低生活を保障する年金です。以前に見た通り、月額66,000円の年金ではとても生活できません。そこで、住宅費なども含めた必要最低限の生活ができる金額まで受給額を引き上げることで、高齢者の生活保障をすること、もしくは別途住宅手当を支給することが重要でしょう。そもそも生活保護の目的は「自立の助長」ですが、現在の制度は高齢者も若者も労働者もすべてを抱え込んでしまっています。「自立の助長」を目的としている制度の中に、稼働能力のない高齢者を含めてしまうのは根本的に矛盾していると思います。こうした矛盾をなくすためにも、最低保障年金の創設は重要でしょう。

 

一方で、経済的に余裕のある高齢者に関しては年金支給額を減額する措置も考えるべきかもしれません。社会保障を考える上では財源についても検討しなければならず、日本の財政状況を勘案すれば、余裕のある高齢者にまで貧しい高齢者と同額を支給する余裕はないでしょう。そこで、財源を保険料ではなく税金とすることで負担と給付の関係を不明確にし(保険とは、いくら払ったからいくら受給できますという関係で、負担と給付の関係が明確)、貧しい人を社会全体で支え合う再分配的要素を強くした制度設計を確立すべきだと思います(俺たちは税金を払うだけで何もメリットない!とならないように、高所得者に対する配慮も何かしら必要だとは思いますが)。この場合、各個人の所得把握が必須となりますので、マイナンバー制度の導入も必要になりそうです。また、そもそも保険料を払わない、もしくは払えない人が増えているのだから、年金制度を持続可能にする上でも税による調達の方が強制力を持つため、効率的ではないでしょうか。

 

・失業給付の強化と就労支援の強化

 ②失業給付の強化と就労支援の強化も文字通りです。一年以上の長期失業者が増大しているにもかかわらず、最長でも330日までしか失業給付が受け取れない状況は、現状に即した給付要件とは言えません。加えて、雇用保険に加入していない人は失業給付を受け取ることすらできません。ここでも財源を税金とすることで、失業した場合には誰でも受け取れる制度を確立するというのも、議論の余地があるのではないでしょうか。変化の激しい現代だからこそ、いつ、誰が失業するかはわからないので、社会全体で支え合う制度設計が求められているように思います。

 

・就学援助、奨学金の充実

③就学援助、奨学金の充実です。教育に関しては、もはや財源云々の問題ではないと思います。教育は生活保護を抜け出すための手段にとどまらず、国の根幹を作り上げるものだからです。子どもの自己責任とは言えない経済的な理由から、教育の機会均等を奪うようなことは決してあってはならないと思います。。貧困の連鎖を断ち切るという目的に加えて、教育は未来の人材への投資と考えて、今すぐにでも就学援助、奨学金は充実させるべきだと思います。

 

一方で私は教育に関してはすべて無償化がベストだと考えています。未来の人材への投資という点から言えば、年金と違って教育は経済力にかかわらず全員に恩恵をもたらす必要があるからです。しかし、実現可能性を考えると現状ではかなり難しそうなので、少なくとも経済的理由で進学ができないということがないよう、就学援助、奨学金の充実が必要でしょう。民主党政権下での、子どもは社会で育てるという理念の下、所得制限なしで現金を渡した子ども手当は、私は一定の意義があったと考えています。これに修正を加えながらの発展を望んでいたのですが、旧来の所得制限ありの児童手当に戻るようなので残念です。この点が今後の課題だと思います。

 

 

財源論が完全に欠落しているので理想論だと言われそうですが、これに関しては財政の原則である量出制入の原則という観点から言えば、支出を先に決めてから収入を決めるのが原則です。詳しくは↓

財政の原則 - パンダのぼやき

 

とはいえ、日本の場合、膨大な借金を抱えているのも事実ですので、そのあたりの兼ね合いも考えなければなりません。いっそう勉強しなければ。

 

 

〈参考文献〉

・本田良一『ルポ 生活保護 貧困をなくす新たな取り組み』中公新書2010

・阿部彩『経済教室 生活保護制度を考える()日本経済新聞2012724日朝刊

・岡部卓『経済教室 生活保護制度を考える()日本経済新聞2012725日朝刊

・『生活保護法http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO144.html (閲覧日:2012109)

・国立社会保障・人口問題研究所HP『世帯類型別被保護世帯数及び生活保護率の年次推移』

http://www.ipss.go.jp/s-info/j/seiho/seiho.asp (閲覧日:2012109)

日本年金機構HP『年金の受給(老齢年金)

http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3221 (閲覧日:20121010)

・『週刊エコノミスト2012813日号、p125127

・『週刊ダイヤモンド2008830日号、p3541

・『図表でみる教育 OECDインディケータ(2011年度版)』

http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/education/20110913eag.pdf (閲覧日:20121011)

 

 

ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み (中公新書)

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生活保護:知られざる恐怖の現場 (ちくま新書)

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生活保護 VS 子どもの貧困 (PHP新書)

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