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詩羽のいる街

 

 内容を一言で言うならば、詩羽(しいは)という一人の女性が紡ぎだす奇跡の物語といったところでしょうか。この小説のポイントは、詩羽が現代社会では必須だと思われるお金や家を持たずに生活しているということ、かつ彼女が関わる人はみんな幸せになるという点です。

 

え?そんなんでどうやって生活するのかって?それは…

 

「恩を売ることで恩が返ってくるという循環」で生活しているのです。彼女は他人に親切にすることが仕事だと言います。例えば、日本のスーパーやコンビニでは賞味期限切れなどで廃棄される食品が非常に多いという問題意識を持つ人がいました。その残り物を仕入れて料理し、安く提供できないかなぁという案は持っていたものの、実行は出来ていなかった。そこで彼女がいろいろ調べて見ると、スーパーも廃棄処分の多さに困っていることがわかった。そこで彼女がその人とスーパーの間に立ち、実際にそういうお店を実現させたのです。いわゆるWin-Winですね。この仲介料としてもらうのが、そのお店での「食事タダ券」で、食費を浮かせているわけです。

 

これはほんの一例に過ぎないのですが、このようにWin-Winを成立させることで彼女自身の生計を立てるのと同時に、その行動で人々をつなげて関わった人を幸せにしていく。フィクションではあるけれど、こういう生き方している人って、実はどこかにいるんじゃなかろうかとも思いました。というかいてほしいな(笑)

 

まぁこんな感じの概要です。ちゃんと伝わったかどうかはわかりませんが、読後感はかなりよく、一つひとつの言葉も心に刺さります。また、こういった「幸せになる」といった類を扱う書籍は、大体「感性」に訴えるものが多い気がしますが、他とは違って本書は「論理」を重視して他人を幸せにします。常に論理的に考えて、みんなが幸せになる最善の方法を導き出す。この辺も本書のポイントかなと。

 

 

とにかく、読後はちょっとだけ幸せな気分になれるのでお勧めです。

 

詩羽のいる街 (角川文庫)

詩羽のいる街 (角川文庫)