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スウェーデンモデルの変容

 

 スウェーデンモデルとは、1951-76年のレーン・メイドナー・モデルに代表される、生産性の低い企業や産業部門を排除し、労働力を職業訓練により生産性の高い分野に移動させ、低インフレ率を維持しつつ完全雇用を実現する政策体系です。このような政策が体系化された背景として、30年代における赤と緑の連合によるヘント・システム、総合労働市場庁の設置などが重要な基盤となっています。ヘント・システムは組合が受給資格や政府の負担水準を決定できる失業保険制度で、組合組織率の上昇と安定を促しました。また、総合労働市場庁の設置によってレーン・メイドナー・モデルの根幹である積極的労働市場政策の基礎を築きました。

 

これら30年代の政策を体系化したものが前述のようなレーン・メイドナー・モデルです。生産性の低い企業を排除し、労働力を職業訓練により生産性の高い分野へ移動させることは、強い企業を作ると同時に、成功ゆえの雇用の縮小というアクティベーションの行き詰まりが生じました。これによって経済が停滞し、ケインズ主義へと回帰するとともに、在庫積み増し補助金も増えていきました。こうして落ちた競争力を取り戻すために「第三の道」を掲げ、クローネの切り下げや金融の自由化を行ったものの、8%の失業率、マイナス成長に苦しむこととなり、先進国の劣等生となってしまいました。こうした中で福祉改革に切り込まざるを得ない状況となりました。この局面は超党派でワーキンググループを作ることで一つの政党だけがダメージを受けることを回避しました。これ以後はサイバースペースのビジネス機会の拡大によって復活の兆しは見せていますが、以前のような翼の保障(積極的労働市場政策)と言われるアクティベーションはもはや機能しておらず、ワークフェアによって失業を減らそうとしているのが現状です。

 

※大学講義参考

 

生活保障 排除しない社会へ (岩波新書)

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