北欧と日本の違い―国民負担率から見る社会システム

 

北欧の国民負担率についてまとめてみました。

 

国民負担率とは…

税と地方税を合わせた租税額の国民所得に対する負担率(租税負担率)と、年金など社会保険料の国民に対する負担率(社会保障負担率)を合計したもので、最終的に国民がどの程度負担しているのかを見ることができる指標です。

 

それをまとめたものが下の表です。

 

国民負担率の比較(対国民所得比、2010年、%)

 

租税負担率

社会保障負担率

国民負担率

デンマーク

65.1

2.7

67.8

フィンランド

40.5

17.4

57.9

ノルウェー

42.9

12.5

55.4

スウェーデン

46.9

12.0

58.9

日本

22.1

16.4

38.5

出所:財務省OECD諸国の国民負担率(対国民所得比)」より筆者作成

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/238.htm (閲覧日:2013年10月19日)

 

・国民負担率からわかることは…

総所得からどれだけの税金や保険料が徴収されているかということ

⇒北欧諸国は総所得から6割近く(デンマークに至っては7割近く)の税金や保険料が徴収されることを意味します。他方の日本は、総所得の約4割の徴収。

 

言い換えれば、北欧諸国は総所得の約6割を税金、保険料として徴収されるので、お金の使い道の自由度は限定的。日本は総所得の約4割の徴収で6割は手元に残るので、お金の使い道の自由度は北欧諸国より高いと言えます。

 

逆に言えば、北欧諸国はお金の自由度が低い代わりに充実した社会保障制度を享受しており、日本はお金の自由度が高い代わりに社会保障制度は北欧諸国と比べて限定的。

 

☆これに関してはどちらが良いということではなく、国民自身が民主主義の過程で決めるべきものでしょう。

 

・もう一つの注目点

北欧諸国:租税負担率(税負担)が高い

日本:社会保障負担率(社会保険負担)が高い

 

これの意味するところは…

北欧諸国は社会保険ではなく、社会保障を重視しているということです。つまり、社会保障(≠社会保険)であり、個々人の福祉国家(納税)への支出と権利とは基本的に連関がないのです。

 

これについては、そもそも社会保険とは何かを考えるとわかりやすいです。社会保険とは、拠出した分は給付を受けられるが、拠出しなければ給付は受けられないという関係です。日本の年金はまさにそのシステムで、一定期間きちんと社会保険料を支払わなければ減額もしくは無年金になってしまいます。しかし北欧の場合には、本当に必要としている人には、拠出しているか否かにかかわらず給付するという関係が成り立っているのです。これが「個人の支出と権利は基本的に連関がない」の意味です。これこそが再分配機能なのです。

 

≪まとめ≫

・北欧諸国は国民負担率は高いが、社会保障制度が充実している

・日本は国民負担率は低いが、社会保障制度は限定的

・北欧諸国は租税負担率が高く、個人の支出と権利は基本的に連関しない税負担を重視

・日本は租税負担率が低く、個人の支出と権利が基本的に連関する社会保険料を重視

 

 

参考文献、資料

財務省OECD諸国の国民負担率(対国民所得比)』

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/238.htm(閲覧日:2013年10月19日)

 

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