歴史を学ぶ意義

最近は社会科の勉強関係で記事を上げているので、今日もそれ関連で一つ。

 

最近、歴史(日本史、や世界史など)を学ぶ意義について、結構考えます。私は正直に言って高校を卒業して大学に入学するまでよくわかりませんでした。「過去なんて学んでどうすんだ。俺らが生きるのは今であり、これからの未来だろ!」とか思いながらも、一応受験で出るからやる、くらいの気持ちで勉強してきました。そんな考え方でしたから、歴史なんて暗記科目だと思い込んでいたし、ただの暗記ゆえに今では単語は聞いたことあるけれど、それを説明してみろと言われても正直無理です。

 

 急にどうしてこんなことを書き始めたのかと言いますと、私が大学で社会科学系の勉強をしているうちに、歴史ってすごく大事だなぁと思うことが多々あったからです。例えば最近?の話で言えば、衆院選で自民党が大勝し、安倍さんが首相となりました。彼が最も力をいれているのは経済再生についてです。そのための手段として金融緩和を主張しています。しかしながら、金融緩和を実際に行うのは中央銀行(日本銀行)という政府からは独立した機関ですので、安倍さんが何を言ってもそれに従う必要はありません。にもかかわらず、(選挙での大勝を盾に?)指示に従わなければ日銀法を改正してアコード(政策協定)を結んで指示に従わせる形をとるみたいです。要するに政府が中央銀行に介入しようとしているわけです。アコードについては結局どうなったのか忘れてしまいましたが、少なくとも大胆な金融緩和は政府の考える方向で進みました。

 

 では、そもそもなぜ日銀が独立した機関となっているのか?というのを考えてみると、戦時中にさかのぼります。第二次大戦中の1942年、日銀法の制定によって政府への無制限の無担保融資や国債の引き受けを規定、軍事融資のための資金統制の機関として機能しました。要するに、戦争をするための資金を調達するためにお金をいっぱい刷るよう指示され、政府の言うままにお金を刷り、戦争に加担することになってしまったわけです。こののちにものすごいインフレも起きました。この反省から、中央銀行は独立させましょうということになったのです。現在の安倍さんの行動は、歴史という観点からすれば戦時中の行動に逆戻りしていると言えそうです(まぁ戦争当時と同じことになることはまずないと思いますが…)

 

 これが良い例になったかはわかりませんが、ここで言いたいことは、「いまを知る上で歴史は非常に重要」ということです。言い換えれば、「歴史を学ぶ意義は、いまを知るため」ということです。このことを中学、もしくは高校時代に知っていたら、歴史の勉強の仕方が劇的に変わっていただろうなと今では思います。だから、社会科の教師は最初にこのことを明確にしてから授業に入るべきだと思います。欲を言えば、歴史的な出来事の一つ一つと現在との関係を補足してあげると、学生の興味や意欲につながるのでは?と思います。

 

 更に言えば、現在の歴史の授業の進め方は古代から現代という方向だと思いますが、個人的には逆に現代から古代の方向で進めるほうがいいんじゃないかと思っています。なぜなら、古代から始めても現代との違いが大きすぎて自分にひきつけて考えにくいからです。まずはじめに現在の状況を説明して、どうしてこうなっているのか?というのをどんどん深堀りしていく方が「なるほどー」となって歴史を学ぶ意義が実感しやすいんじゃないかと思っています。

 ってなことを、下記の佐伯氏の本を読みながら実感しました。この本、世界史をきちんとやっていたらもっとスムーズに入ってきた気がします。

 

要は何をするにも「これをやることにどんな意味があるのか、目的は何か」を意識することが重要だと感じたということです。

 

※結構前に書いた記事なので、日銀法改正云々の話は微妙に違うかもしれません。ご了承ください。

 

〈参考文献〉

猪木武徳『経済学に何ができるか』中央公論新社2012

佐伯啓思『経済学の犯罪―稀少性の経済から過剰性の経済へ』講談社、2012

 

日本経済新聞猪木武徳『経済教室 歴史と思想に学ぶ』201264日付け、朝刊

 

経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み (中公新書)

経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み (中公新書)

 

 

 

経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ (講談社現代新書)

経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ (講談社現代新書)